ビーチャイニーズという中国語学校の「発音矯正クラス」に参加した。
過日に日中学院で個人教授を受けたばかりで出費が痛いが、必要な費用をかけて発音をしっかりさせておかないと自信をもって教材を音読できない。正しく音読できればテキストの内容をどんどん自分のものにしていくことができるから、ここで投資をしようと考えた。
教室は文京区後楽、最寄り駅は飯田橋。小さなビルの5階で、土曜はエレベータが使えないようだ。狭い場所に事務室と教室とが押し込まれていて、「100万人の中国語教室」の新橋教室を思い出す。
受講者は4人。講師はたいへん耳が鋭く、受講者の口の中がどうなっているかをよくとらえていた。声の出し方について具体的な表現(それぞれの音を出すときに舌のどの部分が緊張するか、等)をするいっぽう、やや抽象的な表現もあった(ひびく音・おなかから出る音、等)。おそらく音楽か演劇の訓練を受けたことがあるのではないか。
◆
いままで習ったことと異なる指導があり、少々驚いた。
○子音は次の母音を出す口の構えで出す。たとえば zu は最初から口をとがらせて発音する。
広島大加藤助教授は「中国語発音教材」で次のように書いている。
「まず子音本来の口のかたちを作って子音を発音し、そのあと続けて(その子音にあうように歪めた口のかたちで)母音を発音します」
日中学院の講師(ハルビン出身)もこの加藤助教授と同じことを言っていた。
また、ビーチャイニーズで当日配布したテキスト(ちょっと怪しげなコピー)にも次の記述がある(5ページ)
「もう一つ難しいのは[zu]です。[z]は、唇をちょっと横に引いて、微笑みの口をします。すぐに唇を丸め突き出します。頑張って唇に力を入れ、すばやく動かしてください」
講師に確かめたかったが、本日は時間がないので聞けずに心残りだ。
◆
講師の口の動きがとても自然だったことと、鋭い耳でいろいろと注意をしてくれたので収穫があった。
1.wang の出だしは u ほど口を細くしない。
講師の口を見ると、やや小さく開いた状態から目にも止まらぬ速さで a の開度に移行している。こういうのは目で見ないとわからない。
2.an はヨコ、 ang はタテ。口の中の音の通路をこういう「気持ち」で作る。まねてみると ang がずっと自然になった。
3.iang の i はきちんと出す。
4. u では「音が唇から出て、下に向かう感じで」。「日本語のウは声が上に出る気がする」
5. u はよく共鳴した音で。
6.私の chu に ü の音が混じっているとの指摘。たしかにそうだ。ただちに修正。
7.軽声はあくまで軽く短く。
8.私の zh・ch・sh は上下の歯の間隔が広すぎる。
この指摘はありがたかった。NHKラジオ講座で聞く zh・sh は元気な音だとこのblogに書いたが、歯の間隔を狭くして発音するとNHK出演者の音を再現することができた。舌を巻いてくぐもった音と空気が口の中で歯に当たって偏向する鋭い音とが混じった音が sh なのかもしれない(確信はないが)。
◆
受講者を募るときに学校側は特に条件を付けていなかったが、ピンインが読めないと役に立たない授業だった(本日は全員読めたので支障なし)。やや時間が足りない。わずか2時間で4人の音を矯正するのは無理だろう。しかし、仮に受講者二人とすると参加費が高すぎて成り立たないかもしれない。
◆
今日の講師はたいへん優秀だ。時間が許せば厳しく正確な音を教えてくれそうである。日本語での意思疎通に問題はないが、「良い例」と「悪い例」とを続けて示すときの対比がはっきりせず、受講者が困惑する場面が少しあった。
◆
そろそろ発音の講習に参加するのはお休みにしようと思う。次回に教室に通うときにはある程度会話ができるようになり、実践の場を求めるときだろう。
最近のコメント