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2004-11-07 発音を習うには

母語にない発音を身につける早さには個人差が大きい。スキーや一輪車といった身体動作や楽器の演奏・歌唱といった音楽活動とよく似ていると思う。ある人にとってはたやすいことが他の人にとってはなかなか難しい(ときとして不可能)。

手本を聞いて練習するだけでほとんど問題なく音を再現できる恵まれた人もいる。優秀な教師に教わればなんとか身に付く人もいる。母語との違いをどうしても自分の感覚で理解できず、ずいぶんと時間がかかる人もいる。
※「デンさんの広東語相談室」の掲示板発言2004-10-05「音痴でも大丈夫」参照。

中国語の発音練習に際して、まず自分の耳を疑おうと決意してとりかかった。耳で聞くことは大切だが、それだけでは(私は)発音を身につけられない。発声器官の使い方を自分のものにすることでようやく中国語の音を再現できるはずだと考えた。

たとえ話をしよう。ヨーロッパ人やアラブ人が日本の「吸い物」を飲む。何度か飲めば香り高く上品な味だと思うかもしれない。だが、このスープを作る方法はおそらく彼らにはわからないだろう。カツオの特定の部位を熱加工し、薫製にし、菌を植えて天日乾燥を繰り返す。こうして作った鰹節を薄く削ってさっとだしを取る。

中国語の発音を録音教材で何百回と聞いても、それは「吸い物を味わっている」だけだ。何の魚を使い、どのように茹でて薫製にし、どの種類のカビを付けてどれだけ干すのか。これがわからないと再現はできない。

ここで頼りになるのが優れた教師だ。中国語の母語話者と発音を身につけた日本人との2人組が理想だろう。声門の閉鎖具合にはじまり、共鳴の強さや息の使い方をまず練習する。そして口の開き方・舌の位置を「ミリ単位」で教師に調整してもらえば子音・母音の練習も短時間で実りの多いものになるだろう。日本語の特色を理解した日本人教師の説明は母語話者教師の直感的な指摘よりもわかりやすいはずだ。


部分的な練習も必要だと考える。スキーでは斜面を降りるだけでは上達しない。ピアノ演奏も曲を演奏するだけでは身に付かない。筋力トレーニングや音階練習は不可欠で、そういう部分練習をうまく組み合わせたときの効果は非常に高い。

たとえば、舌の動きが難しければ舌の動きだけを取りだして練習してみてはどうだろう。中国語の練習をする前に準備運動として ci・zhi・ci ×3回、 zhi・ci・zhi ×3回を繰り返すなど、いろいろと考案できる。

無気音と有気音との区別が難しければ、思い切り小さな声でそっと有気音を出す(送気の感覚を味わう)練習を取り入れるのも役に立ちそうだ。


大人の学習の楽しさは、自分で仮説を作って試せるところにある。思いこみによる害が出ない程度に遊んでみようではないか。

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