教材を選ぶにあたって
教材についてのお問い合わせをときどきいただきます。使ってみた教材についてはブログに何らかの形で感想を書いていますが、その内容について下記のことを心に留めていただければ幸いです。
【情報はすぐに古くなる】
言語教授の世界も変化が早く、昨日の名著といえどもすぐに今日の新しい研究成果に追い越されます。この文章を書いている最中にも優れた教材が世に出つつあることでしょう。
「教材と辞典とは新しいほうがいい」というのが私の基本的立場です。何十年にわたって山のように教材が出版・開発されてきた英語教育でさえ、この数年の進歩は大きいものです。日本で中国語学習が注目されるようになってからまだ数年ですから、今後優れた出版物・教授法が次々と登場することは間違いありません。
【人によって好みが違う】
ある人が絶賛する教材が他の人にはそれほどでもない、ということはごく当然のことだと思います。学習の履歴や評価する点は人それぞれです。私の選択は次のような点を重視した結果です。
・説明が本質的で切込みが鋭いもの
「○○は××です」という紋切り型の記述や、過去の出版を糊・はさみで組み合わせたような教材は好みません。なぜそうなるのかを解き明かす教材に強く惹かれます。
反面、この基準で選ぶと「とにかくこの本を使っておけば大丈夫」という(無難な)教材を求める人には合わないものもあるかもしれません。
・実践的なもの
学習者が使ってどれだけ役立つかを考えている教材が好きです。
・読みやすいもの
見出しや構成が明快で、紙面に余裕があるものが好きです。
90点の教材を使っていいかげんに学習するのと、60点の教材を使って徹底的に学習するのとでは、後者のほうが成果が出るのは間違いないと思います。学習するのは教材ではなく、学習者なのですね。私は実のところ、しっかりしていると自分で思えるものなら、どれを使っても大差ないのかな、と思っています。
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