カテゴリー「発音 無くて七癖」の7件の記事

2011-08-05 無くて七癖(u)

中国語の u の音には悩みました。ウィズダム広東語学院で問題のある音を一つずつ矯正していったのですが、u だけはついに時間切れで宿題になってしまいました。

ちょっと思い違いをしていたのに気づいたのが最後から二番目の授業でした…。


舌を奥に引き、口腔内の下の方に置くのが中国語(というか、日本語以外の?)「ウ」系統の音の特徴と言ってよいと思います。舌の引き方に勘違いがありました。

以前に u を出すときの舌の構えを講師に見せてもらったことがあります。ぎゅっと縮こまって、「平ら」「先端がある」といった舌の想像図からかけ離れた姿に衝撃を受けました。
「舌が団子になっている!」

これをまねようとして、舌の先端を下方(自分の心臓の方向)に向けようとしていたのが良くなかったのです。わずかに(本当にほんのわずかに)口の中の形が変わって、純粋な u ではなくかすかに o のような「香り」が付いてしまうのです。それでも u 単独で出すときや ku や bu といった音ではさほど問題にならなかったのですが、tu では舌の運動量が多いこともあってうまくいきませんでした。

舌の先端を無理に下方に向けて舌を団子状にするのではなく、舌そのものを前後に短縮する感じが正しいようです。ラグビーボールのとがっている箇所がぎゅーんと引っ込んで、バスケットボールになる感じ…。実際には舌の付け根部分が舌を奥に引き込もうとする動きと相まってのことだと思います。

毎日少しずつ練習していたら、だいぶいい感じになってきました。中国語特有の強烈な u はブログ「中国語翻訳者のつぶやき」の2011-08-01記事「メディアの怒り」に明天会更美好さんが貼り付けてくれたニュース映像の男性アナウンサーから聞くことができます。5'44" あたりからの
「我们现在的中国的发展速度就跟动车、高铁一样令全世界羡慕。然而我们在满足速度追求的同时,」
の 速度 满足 は強烈だと思います。口先の突き出しも強いのが見て取れます。

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2011-07-23 無くて七癖(軽声)

発音教材には軽声がちゃんと取り上げられています。
・短く、弱く発音され、そのために母音の特徴がはっきりと出ない
・一声・二声の後ならその一声・二声より低い
・三声の後ならその三声より高い
・四声の後ならその四声より低い

私も上記の原則通りに発音してきたつもりですが、発音指導で少々日本語由来の癖があるとの指摘を受けました。

原則通りに発音するときの音程においても、中国語らしくするためにはベストの高さがあるんですね。自分の声を録音して手本と比べても、
「なんとなく違和感があるな」
とまでは分かるのですが、その原因が軽声の音程にあるというのにはなかなか気づきませんでした。

この高さの調整は私にとってはけっこう難しかったですね。たとえてみると、私の音程はピアノの白鍵・黒鍵(半音)でしか調節できないのに、中国語はその半分(1/4音)の調整を要求するような感じで…。

軽声の高さや母音の出方(たとえば e の特有な音がかなり減って、音の出るポイントが口腔内の前方に寄ってくる)に注意するといろいろと発見がありました。

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2011-06-28 無くて七癖(n)

n は日本人が全般的に苦手とする音だと思います。中国語でも、英語でも、ドイツ語でも(たぶん他の言語でも)。

どう苦手かというと、単純に「音が出ていない」。

多くの中国語の参考書では -ng との違いをいっしょうけんめい説明するので、
「舌の前のほうを硬口蓋にしっかり付けましょう」
などと書いていますね。

この説明、大事なことが一つ抜けています。

そう、
「そして、音をしっかり鳴らします」
ということが。

舌をいっしょうけんめい指定の位置に持っていっても、それだけでは音は出ません。中国人教師は日本人学習者(だけではありませんが)の多くが音を出さない(うなり音を発しない)とは夢にも思わないので、
「舌でしっかり閉じて!」
と少々見当違いの注意をするわけです。

从业务员一步一个脚印地干到现在。
この文には4つの n がありますが、私の場合油断すると「干」や「现」の n が弱くなりがちでした。

※ 個人差があるので、 n が十分に鳴っている日本人も数多く存在すると思いますが、私が見聞きした範囲ではみなさん「ヨワヨワ」でした。お手本の中国人音声をまねるとたいてい手本よりも弱くなってしまうようです。

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2011-06-19 無くて七癖(-ian)

まさかこれで引っかかるとは思いませんでした。
現代の xian で i の音がちゃんと出てないそうです。それから、好像の xiang でも。

自分ではきちんと出してるつもりでしたが、もう少し鳴らす必要があるようですね。


手本のCDを良く聞いてまねるように、という助言を参考書で見かけますが、私は少し懐疑的です。きっかり摂氏百度までしか上がらない熱源で湯を沸かすようなものではないかと。

しっかり(百度で)沸騰させるなら、熱源はもっと高い温度まで達する必要があるでしょう。外国人向けの発音指導は声楽や運動、演劇の訓練のように「殻を破る」までやってみる必要があると思います。

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2011-06-16 無くて七癖(ng)

ng の音と n の音とを対比して学習させる教材が多い(ほとんど全て?)ですね。

私もそうして学習してきました。

この学習方法も優れていると思うのですが、n ・ ng それぞれを別個にしっかり身につけても良いのではないかと思います。

私の場合、ng で舌の付け根部分が軟口蓋の奥に接触しないで出している場合が多いことを指導者に指摘されました。接触させないことで無意識に咽喉部分まで共鳴に使おうとしていたのかもしれません。

このブログにもコメントを寄せていただいている acasia0411さんの中国語学習サイト「中国語 ピンインマスターへの道!」にちゃんと書いてありました。

舌の付け根(舌根)が盛り上がって、軟口蓋に接触し、同時に鼻から呼気が流れる音という意味です。


「むにゅっ」と接触する感じを確かめて発音すると、しっかりした ng をいつでもさっと取り出すことができます。鼻から盛大に音が出る感じもわかりますね。

発音がしっかりしてくると、聞いたときも n と ng との違いが際だってきます。
「あ、舌の奥の奥で接しているな」
というのがイヤフォンから伝わってくるような…。

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2011-06-13 無くて七癖(x の音)

さて、無くて七癖シリーズその2は x です。

これも罪がなさそうな顔をしている割にはなかなかやっかいな音。

ちまたの本では
「猫を追いやる『シーッ』の音」
などと簡単に片付けていますが…。


私の癖(日本人に共通するものではないと思いますが)は、x が始まるその瞬間だけ舌面が硬口蓋に軽く触れていることでした(正しくは触れない)。

言われるまで全く気づかなかったですね。

英語では z の音でこの癖が問題になることが多いようです。

指導者はよく気づいたものです。音にごくわずかな「よどみ」が生まれるのを聞き逃さなかったのでしょうね。

いつもこの癖が出るわけではなく、特定の音が前にあるときに発生していたようです。

この矯正は楽で、すぐに押さえつけることができました。

無くて七癖の旅はまだまだ続く。

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2011-06-12 無くて七癖(f の音)

中国語や英語の f の音は日本語にはないので注意が必要ですね。

ただ、この「注意」はよく知られているので、上の前歯の先を下唇の内側に軽く触れ、そこに空気を通して音を出すことはたいてい皆さんできていると思います。

私もできていました。いや、できているつもりでした。


この f を出すときにも母語である日本語の影はつきまといます。私はこの影にだいぶやられていました。私と話をした米国人や英国人、中国人は
「なんかヘンだな」
と思っても、何が原因で違和感があるかはわからなかったのでしょう。

違和感の正体は「両唇摩擦音」、つまり日本語の「フ」を出すときの音です。気流が上下の唇の間の狭いすきま通るときに唇の表面で発する摩擦音。

この両唇摩擦音は f (唇歯摩擦音)と同時に出せてしまうのです!

私の f は純粋な f ではなく、カタカナの「フ」の子音部分が混じった f だったんですね。


f から 両親摩擦音を排除するのには二週間くらいかかりました。「修理」が終わると実にすっきりしたぴかぴかの f が出るようになってとても良い気分です。

鋭い耳と豊富な知識とがないとこうした問題は指摘できないと思います。良い指導者に恵まれたことに感謝ですね。

そして、「無くて七癖」の退治はまだまだ続くのでした。

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